友引だけではない葬儀と六曜の関係
葬儀の日程において最も強く意識される六曜は「友引」ですが、実は他の日にもそれぞれ意味があり、人々の心理に少なからず影響を与えています。六曜とは、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の六つの日のことで、これらが順番に繰り返されます。これらの日が葬儀においてどのように捉えられているのかを知ることは、日本の弔いの文化をより深く理解する助けとなります。まず「大安」は、言わずと知れた「大いに安し」とされる吉日です。そのため、結婚式などのお祝い事には最適の日とされますが、葬儀に関しては特に吉凶はないとされ、問題なく執り行われます。ただし、お祝い事のイメージが強いため、あえて避けるという方もいるようです。次に「仏滅」は、「仏も滅するような大凶日」とされ、お祝い事は避けられます。しかし、葬儀や法事に関しては、むしろ「物事が滅し、新たに始まる」と解釈され、故人が新たな世界へ旅立つのに適した日として、好んで選ばれることさえあります。火葬場も通常通り稼働しており、予約が集中することもあります。「先勝」は午前が吉、「先負」は午後が吉とされますが、葬儀においてはほとんど意識されることはありません。最後に「赤口」は、正午のみが吉で、それ以外は凶とされる日です。特に火や刃物に注意すべき日とされ、死を連想させることから、葬儀は避けられる傾向にありますが、友引ほど強いタブーではありません。このように見ていくと、葬儀において絶対的なタブーとされるのは実質的に友引のみです。しかし、これらの六曜が持つイメージは、日程を決める際のご遺族や親族の心理的な拠り所となることがあります。科学的根拠を超えた、人々の心に寄り添う暦の力が、そこにはあるのかもしれません。