葬儀互助会というシステムは、多くの会員から長期間にわたって掛金を預かるという性質上、その運営会社の経営状態、特に「倒産リスク」について不安を感じる方が少なくありません。結論から言うと、過去に倒産した互助会は実際に存在し、そのリスクはゼロではありません。しかし、そのリスクを軽減するための法的なセーフティネットも存在します。この両面を正しく理解することが重要です。互助会は、「割賦販売法」という法律のもとで経済産業大臣の許可を受けて営業しています。この法律では、消費者保護の観点から、互助会に対して厳しい規制が課せられています。その最も重要なものが「前受業務保全措置」です。これは、互助会が会員から預かった掛金(前受金)の総額の二分の一に相当する額を、法務局への供託や、銀行・保証会社との保証契約などによって保全することを義務付けるものです。つまり、万が一互助会が倒産した場合でも、会員は少なくとも払い込んだ掛金の半分は、この保全措置によって保護される仕組みになっています。しかし、裏を返せば、最悪の場合、残りの半分は返ってこない可能性があるということも意味します。これが、互助会の倒産リスクがゼロではないと言われる所以です。また、倒産した際に、他の互助会がその契約を引き継いでくれる「営業譲渡」が行われることもあります。この場合、会員は新たな互助会で、以前の契約に近い形でサービスを受けられる可能性がありますが、必ずしもすべてのケースで救済されるわけではありません。したがって、私たち消費者ができる最大のリスク回避策は、やはり契約前の「会社選び」に尽きます。会社の規模や歴史、経営状態に関する情報をできる限り収集し、財務的に健全で、信頼性の高い会社を選ぶこと。そして、前受金の保全措置がきちんと講じられているかを必ず確認すること。この二点が、将来の安心を守るための最も確実な方法なのです。
葬儀互助会の倒産リスクは本当か