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有名人の訃報から読み解く葬儀トレンド
テレビのワイドショーやネットニュースで大きな扱いを受ける「有名人の訃報」と「葬儀の様子」は、単なる芸能ニュースの枠を超えて、その時代の葬儀トレンドや社会の空気を色濃く反映しており、一般の人々の葬儀観にも多大な影響を与えています。かつては、大スターが亡くなると青山葬儀所などで何千人ものファンや関係者を集めて盛大な葬儀・告別式を行うのが通例でしたが、近年のニュースを見ていると、まずは近親者のみで「密葬(家族葬)」を執り行い、後日改めて関係者やファンのために「お別れの会」を開くという2段階のスタイルが完全に定着したことが分かります。この変化は、プライバシーを守りながら静かに故人を送りたいという遺族の願いと、公人としての社会的責任を果たしたいというニーズを両立させる合理的な解決策として、一般の社葬や経営者の葬儀にも広く波及しています。また、祭壇のデザインにおいても、従来の白菊を並べた厳粛なものから、故人が愛した花々で埋め尽くした「花祭壇」や、故人の趣味や作品の世界観を表現したアーティスティックな祭壇が選ばれることが多くなり、ニュース映像で流れるその華やかで個性的な祭壇を見て、「自分の時もこうしたい」と憧れを抱く人も少なくありません。さらに、有名人が生前に「戒名はいらない」「散骨してほしい」といった遺言を残し、それが実行されたというニュースは、形式にとらわれない自由な葬送を肯定する強力なメッセージとなり、伝統的な葬儀のあり方に疑問を持っていた人々の背中を押すきっかけとなっています。時には、遺産相続争いや内縁の妻の排除といったドロドロとしたトラブルも報じられ、終活の重要性を反面教師として教えてくれることもありますが、総じて有名人の葬儀ニュースは、私たちにとって「どのような最期を迎え、どのように送られたいか」を考えるための最も身近で分かりやすいテキストとしての役割を果たしていると言えるでしょう。時代を彩ったスターたちの最期の演出は、そのまま次の時代の葬儀スタンダードの予告編となっているのです。